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2026/09/15
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先日お邪魔した三条にある「TREE」のお話です。
先日、新潟県三条市にある「TREE」さんにお邪魔してきました。
以前から存在は知っていたのですが、実際に足を運んでみると、
想像していた以上に素敵な場所でした。

「また行きたいな」
帰ってきてから、素直にそう思える場所。
今回は、そんなTREEさんを訪れて感じたことを書いてみたいと思います。



三条の商店街にある、ちょっと特別な場所
TREEがあるのは、三条市の「一ノ木戸商店街」。
2017年、古民家を活用したカフェ・レストランとしてスタートした場所です。
初めて訪れて印象に残ったのは、
「建物を新しくして、おしゃれなお店をつくりました」
という感じではないこと。
昔からそこにあった建物の雰囲気や時間を残しながら、新しい感覚を上手に組み合わせています。
古いものを全部取り払って、新しいものに置き換えるのではない。
古いものの良さを残しながら、今の人たちが「ここにいたい」と思える場所につくり直している。
そこが、とてもいいなと思いました。
三条市によると、建物には大正時代に建てられた赤レンガ倉庫や、昭和初期に建てられた三条の伝統的な町屋造りの母屋が活用されているそうです。
だからでしょうか。
新しいお店にはない「時間」が、この場所にはあります。



入った瞬間に感じる「なんかいい」
お店や施設を訪れたとき、
「何がいいのか、うまく説明できないけれど、なんかいい」
と感じることがあります。
TREEは、まさにそんな場所でした。
もちろん、インテリアがおしゃれだったり、古民家の雰囲気が良かったり、
細かく見ていけば理由はいくつもあると思います。
でも、それだけではありません。
照明だったり、
家具だったり、
建物の古さだったり、
人の距離感だったり、
少しだけ非日常を感じる空気だったり。
そういった一つひとつが重なって、「TREEらしい空気」ができているように感じました。
デザインの仕事をしていると、どうしてもロゴや色、家具、照明など、一つひとつの要素を見てしまいます。
でも、本当にいい空間は、一つのデザインだけが目立つわけではありません。
全部が自然につながっている。
TREEにいて感じたのは、まさにその感覚でした。
「古民家だからいい」だけではない
最近は全国各地で、古民家をリノベーションしたカフェや店舗を見かけるようになりました。
古い建物を活用すること自体は、それほど珍しいことではなくなっています。
でも、古民家を使えば自動的に素敵な場所になるわけではありません。
むしろ大切なのは、
「その建物を使って、どんな時間をつくるのか」
なのだと思います。
TREEには、カフェ・レストランとして食事を楽しむ人がいます。
友達とお茶をする人もいる。
打ち合わせをする人もいる。
そして、地域で何かを始めたい人や、仲間と出会いたい人たちが集まる場所としての役割もあります。
つまり、
「何をする場所なのか」
を一つに限定していないんですよね。
この「余白」が、とても面白いと思いました。
ハンバーガーにも「地域」が入っている
TREEの代表的なメニューの一つがハンバーガー。
ただハンバーガーを提供しているのではなく、地域の各専門店と
一緒につくり上げているというところもTREEらしい部分です。
地域のお店、地域の食材、地域の人。
一つの商品を入口にして、地域とのつながりが生まれている。
こういう考え方は、とても大切だと思います。
地域活性化というと、どうしても大きなイベントを開催したり、
大きな施設をつくったりすることを考えてしまいます。
もちろん、それも一つの方法です。
でも、
「地域のお店と一緒に一つの商品をつくる」
という小さな連携だって、立派な地域づくりです。
むしろ、こうした小さなつながりが日常的に積み重なっていくことのほうが、
地域にとっては大切なのかもしれません。
「目的がなくても行ける場所」は強い
今回TREEを訪れて、改めて思ったことがあります。
それは、
地域には「目的がなくても行ける場所」が必要だということ。
例えば、
市役所には用事があって行きます。
スーパーには買い物をするために行きます。
病院には診察を受けるために行きます。
ほとんどの場所には「行く理由」があります。
でも、地域の中には、
「なんとなく行ってみよう」
と思える場所も必要なんじゃないでしょうか。
コーヒーを飲みたいから。
誰かに会えるかもしれないから。
少し仕事をしたいから。
面白そうな人がいそうだから。
特に理由はないけれど、なんとなく。
そういう場所から、人と人との偶然の出会いが生まれます。
そして、
「こんなことをやってみたいんですよね」
という何気ない会話から、新しいプロジェクトが始まることもあります。
地域を面白くするのは、案外そういう偶然なのかもしれません。



TREEは「お店」であり「地域の入口」なのかもしれない
TREEについて調べてみると、単純な飲食店ではないことが分かります。
カフェ・レストランだけではなく、「ギルドオフィス」という取り組みも行っています。
自分でお店を持ちたい。
地域で活動する仲間が欲しい。
何か面白いことをやってみたい。
そんな人たちが出会い、一緒に成長していくための場所です。
これは面白い考え方だと思います。
普通のコワーキングスペースなら、
「仕事をする場所」です。
でもTREEが目指しているのは、それだけではない。
「人と出会う」
「地域とつながる」
「挑戦する」
そのための入口になっている。
だからTREEには、飲食店とは少し違う空気があるのかもしれません。
「人が集まる場所」ではなく「人がつながる場所」



地域活性化の企画を考えていると、
「どうやって人を集めるか」
という話になりがちです。
イベントを開催する。
広告を出す。
SNSで発信する。
キャンペーンをする。
もちろん、集客は大切です。
でもTREEを見ていると、その一歩先があるように感じます。
大切なのは、
「何人集まったか」ではなく、「そこで何が生まれたか」。
100人来て、100人がそのまま帰る場所。
10人しか来なかったけれど、その中の2人が出会って新しい活動を始めた場所。
地域にとって長期的に価値があるのは、もしかすると後者かもしれません。
「集客」ではなく「関係」。
この考え方は、これからの地域づくりでは、ますます重要になってくると思います。
商店街の中にあることにも意味がある
そしてTREEが面白いのは、郊外の新しい商業施設の中ではなく、「商店街」にあること。
地方では、商店街の空き店舗や空き家が課題になっています。
でも、建物が空いていることだけが問題ではないと思います。
もっと大きな問題は、
「そこへ行く理由がなくなること」
なのではないでしょうか。
一つ面白い店ができる。
そこへ若い人が来る。
隣のお店を知る。
商店街を歩く。
別のお店にも入ってみる。
イベントに参加する。
知り合いができる。
そして、また来る。
一つの場所をきっかけに、人の流れが少しずつ変わっていく。
TREEは、その「きっかけ」の一つになっているように感じました。
地域づくりは「場所づくり」だけでは完成しない
素敵な建物をつくる。
おしゃれな内装にする。
SNS映えする場所をつくる。
それだけなら、ある程度お金をかければできるかもしれません。
でも、
「また行きたい場所」
をつくるのは難しい。
建物だけでは、人は何度も通いません。
そこにいる人。
そこで生まれる会話。
そこで出会う人。
そこで感じる空気。
そういったものが重なって、初めて「場所」が育っていくのだと思います。
TREEの公式サイトには、若者たちが語り合い、笑い合い、集まることで、
それまでになかった新しい「日常」が生まれたという趣旨の紹介があります。
この「日常」という言葉が、TREEをすごくよく表している気がします。
観光地のように、
「一度行けば満足」
ではない。
特別なイベントの日だけ人が集まる場所でもない。
普通の日に行ける。
何度でも行ける。
そして、行くたびに少し違う出会いがある。
そういう場所は地域にとって、とても大きな財産だと思います。
三条だからこそ生まれた場所
そして、もう一つ感じたのは、
TREEは、東京や大阪にそのまま持っていけば成立するものではないということです。
三条という街があって、
商店街があって、
古い建物があって、
地域のお店があって、
そこで活動する人たちがいる。
その全部が組み合わさってTREEになっている。
全国どこにでもあるチェーン店には、チェーン店の安心感があります。
でも、地域には地域にしかつくれない場所が必要です。
「三条に行ったら、あそこに行きたい」
そう思わせてくれる場所が一つあるだけで、街の印象は変わります。
私たちの地域にも、こういう場所がもっとあっていい
今回TREEにお邪魔して、いろいろ考えさせられました。
上越でも、新潟でも、地方ではよく、
「若い人が集まる場所がない」
「新しいことが生まれない」
「商店街に人が来ない」
という話を聞きます。
でも必要なのは、いきなり大きな施設をつくることではないのかもしれません。
小さくてもいい。
古い建物でもいい。
最初から完璧じゃなくてもいい。
そこへ行けば誰かがいる。
面白い人に会える。
何か相談できる。
コーヒーを飲みながら話せる。
そして、
「ちょっとやってみようか」
と言える。
そんな場所が一つあるだけで、地域は少しずつ変わっていくのではないでしょうか。
「また行きたい」と思えることが一番すごい
いろいろ書きましたが、結局一番伝えたいのは、とてもシンプルなことです。
TREE、とても素敵な空間でした。


そして、
また行きたい。
これに尽きます。
建物が素敵だったから。
空間がおしゃれだったから。
それもあります。
でも、それ以上に、
「この場所では、何か面白いことが起こりそうだな」
と思わせてくれる空気がありました。
こういう感覚は、ホームページや写真だけではなかなか伝わりません。
実際に行って、
建物に入って、
座って、
周りを見て、
人の話を聞いて、
初めて分かるものがあります。
場所をつくることは、未来をつくること
TREEを見て改めて感じたのは、
「場所をつくる」ということは、単に建物をつくることではないということです。
人が出会う場所をつくる。
話ができる場所をつくる。
挑戦できる場所をつくる。
失敗しても、また何か始められる場所をつくる。
そう考えると、
場所をつくることは、その地域の未来をつくることなのかもしれません。
TREEという名前には、最初は小さな木でも、深く丈夫な根を張り、誰もが集まれる「宿り木」のような存在になり、そこから新しい芽が生まれてほしい、という想いが込められているそうです。
実際に訪れてみると、その考え方が少し分かったような気がしました。
人が集まり、
人がつながり、
そこからまた誰かが新しいことを始める。
一つの場所から、新しい芽が出ていく。
そんな循環が地域の中に増えていったら、地方はもっと面白くなると思います。
また、三条のTREEへ。
今回は短い時間でしたが、本当にいい刺激をいただきました。
「おしゃれだった」
だけでは終わらない場所。
「美味しかった」
だけでも終わらない場所。
帰ってから、
「あの場所って、なんであんなに心地よかったんだろう」
と考えてしまう。
そんな場所でした。
そして何より、
「また行こう」
と思える。
これは、お店や施設にとって一番大切なことなのかもしれません。
次に行ったときには、今回とはまた違う人がいて、違う話があって、違う発見があるかもしれません。
そんな偶然も楽しみにしながら。
また三条に行った際には、TREEにお邪魔したいと思います。
素敵な時間をありがとうございました。
そして、地域にこんな場所があることを、少し羨ましくも感じました。
私たちの地域にも、
「用事があるから行く場所」ではなく、
「なんとなく行きたくなる場所」。
そして、
「行ったら誰かとつながれる場所」。
そんな場所をもっと増やしていけたら。
TREEを訪れたことをきっかけに、
改めて「地域に必要な場所とは何なのか」を考える一日になりました。
また行きたいと思います。
