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2026/01/15
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正月に何を食べる?
上越の冬の食卓から見えてきた、変わるもの・変わらないもの
先日、上越市外の方とたわいもない雑談をしていた時のことです。
仕事の話でもなく、特別な話題でもなく、ただ何気なく正月の話になりました。
「上越って、正月に何を食べるんですか?」
その一言に、少しだけ言葉に詰まりました。
すぐに「これだ」と言えるものが、昔に比べて減っている気がしたからです。
おせち料理、雑煮、煮しめ。
もちろん今も食べます。でもそれは、全国どこでも似たような風景です。
かつては「この家ではこれ」「この地域ではこれ」というものが、もっと色濃くありました。
便利になり、情報も物流も整った今、
正月ならではの“特別な食卓”は、少しずつ薄れてきているのかもしれません。
そんな中で改めて思い浮かんだのが、
それでもやっぱり、上越には上越の冬があるということでした。

🌊 直江津・日本海ならではの正月の味
上越、特に直江津という土地は、
日本海とともに生きてきた町です。
冬は厳しい。
風は強く、雪も多い。
でも、その厳しさがあるからこそ、冬の海は恵みをもたらしてくれます。
■ 寒ブリ(直江津沖)
新潟県全体でも冬の味覚として知られる寒ブリですが、
直江津港で揚がる寒ブリは、やはり別格だと感じています。
冷たい日本海で身を引き締め、
たっぷりと脂を蓄えた寒ブリ。
刺身にすれば、舌の上でとろけるような脂の甘み。
ブリ大根にすれば、出汁と大根に染み込む旨み。
正月や冬の集まりの席に、
「ブリがある」というだけで、食卓の空気が変わります。
これは贅沢というより、
この土地に生きている人にとっての“当たり前の幸せ”なのかもしれません。
■ ズワイガニ(直江津港水揚げ)
カニといえば寺泊が有名ですが、
直江津港で水揚げされるズワイガニには、また違った“地元感”があります。
市場や地元の店で買う、
シンプルに茹でただけのズワイガニ。
余計なことはしない。
塩味と甘みだけで勝負する冬の贅沢です。
正月に家族で無言になりながらカニを食べる。
会話は少なくても、その時間自体が記憶に残る。
こういう風景も、上越の正月の一部だったのだと思います。
🍲 上越の家庭に根付く「のっぺ」

もう一つ、上越の正月や冬に欠かせないもの。
それがのっぺです。
新潟県内ではどこでも食べられる郷土料理ですが、
上越ののっぺは、比較的味付けがしっかりめだと言われます。
里芋、人参、こんにゃく、椎茸、銀杏。
家庭によっては鶏肉やイクラが入ることもあります。
同じ「のっぺ」でも、
家ごとに味が違うのが面白いところです。
正月や冬の集まりに行くと、
「うちののっぺはこうだ」という話が自然と出てきます。
それは料理の話でありながら、
家族の歴史や、その家の暮らし方の話でもあります。
失われつつある「正月らしさ」
正直に言えば、
こうした正月ならではの食文化は、昔よりも確実に減っています。
・忙しくて準備ができない
・おせちは買うものになった
・正月も仕事がある
・家族が集まる機会が減った
理由を挙げれば、きりがありません。
それ自体が悪いことだとは思いません。
時代が変われば、暮らし方も変わります。
ただ、
「何を食べていたか」
「どんな風景があったか」
そうした記憶が薄れていくのは、少しだけ寂しい気もします。
福田鉄工として、冬の上越を思う
私たち福田鉄工も、
この上越という土地で仕事をしてきました。
冬は雪との戦いです。
朝は除雪から始まり、
寒さの中で体を動かし、
安全に、確実に仕事を進める。
決して楽な季節ではありません。
それでも、
仕事を終えて家に帰り、
温かい食事を囲む時間がある。
寒ブリが出る日もあれば、
のっぺが鍋いっぱいに作られている日もある。
そうした何気ない日常が、
「また明日も頑張ろう」と思わせてくれます。
変わるもの、変わらないもの
正月の食べ物は変わっていくかもしれません。
でも、
・冬の日本海の恵み
・家族で囲む食卓
・この土地で生きている実感
それらは、簡単にはなくならないと思っています。
たわいもない会話から始まった
「上越の正月に何を食べるのか」という問い。
改めて考えてみると、
それは「この土地でどう生きてきたか」を
問い直すきっかけだったのかもしれません。
これからも福田鉄工は、
上越という土地に根を張り、
この町の冬とともに仕事を続けていきます。
そして、
いつかまた誰かに聞かれた時には、
こう答えたいと思います。
「上越の正月は、日本海の冬を食べるんですよ」と。
